MENU

なぜ最近「カスハラ」が問題になる?現場とシステムの両面からSE視点で考える

  • URLをコピーしました!
目次

はじめに:ここ数年で一気に表に出てきた違和感

最近、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉をよく耳にするようになりました。
店員への暴言、過剰な要求、土下座の強要など、ニュースやSNSでも目にする機会が増えています。

ただ、40代のシステムエンジニアとしてこの流れを見ていると、
「急に人が変わった」というよりも、
これまで水面下にあった問題が表に出てきただけのようにも感じます。

ITの現場でいうなら、
昔から潜んでいた不具合が、負荷増大によって一気に顕在化した、そんなイメージです。

ちなみに筆者は社内SEとして社員相手のPCやスマホ、システム、ネットワークの導入やメンテナンスなどを行っています。
そのため、相手は社員ということで、カスハラ的な言動を行う社員がそれなりにいて、メンタルがやられそうになるくらいですが、それが相手はお金を払っているお客様相手だとより上から目線が強まる言動が増えるでしょうね。


なぜカスハラが増えたように見えるのか?

① 「お客様第一」が行き過ぎた結果

日本の接客は、世界的に見ても非常に丁寧です。
ただ、その文化が長く続いた結果、

  • 無理な要求も通る
  • 強く言えば何とかなる
  • 謝らせたほうが勝ち

といった認識が、一部で定着してしまいました。

これは接客する側が悪いという話ではありません。
仕組みとして、線引きが曖昧だったのが問題です。


② 現場に「断る権限」がない

多くの現場では、

  • マニュアルはある
  • でも例外対応は現場任せ
  • 上司につながるまで時間がかかる

という状態になりがちです。

SE的に見ると、
例外処理が設計されていないシステムに近い。

結果として、
一番弱い立場の人が、すべてを受け止める構図ができてしまいます。

社内SEとしての筆者は社員により良い環境を提供しようと、頑張り動いた結果、単なる雑用係になったように感じています。そして結果的に、社員はよりわがままな要求をしてくるようになり、弱い立場になり下がったようにも感じています。


③ ストレスのはけ口が向きやすい時代背景

コロナ禍以降、

  • 生活の不安
  • 仕事のストレス
  • 人との距離感の変化

こうした要素が積み重なり、
感情のコントロールが難しくなっている人も増えました。

その矛先が、
「反論しづらい相手」に向いてしまう。
これは個人の問題というより、社会全体の歪みだと感じます。

より言いやすい相手に矛先がむけられてしまいますよね。極端な例えではありますが、テレビを見ていても、犯罪の被害者はより弱い人というのが物語っています。


SE視点で見る「カスハラが起きやすい現場」の特徴

ここからは、少しSE目線で整理してみます。

● ルールが現場に丸投げされている

「状況に応じて柔軟に対応してください」

一見、良さそうですが、
実際には判断基準が人によってブレる原因になります。

ITで言えば、
仕様書がなく、口頭説明だけで運用している状態です。


● エスカレーション経路が弱い

トラブル時に、

  • すぐ上に回せない
  • 責任の所在が曖昧
  • 判断が遅れる

こうなると、相手の要求はどんどんエスカレートします。

「今すぐ決められません」が、
一番相手を刺激してしまう場面も多いです。

筆者の職場では、筆者の上司が責任を取りたがらない人で、何かを相談しても全く相手にされず、結果として、社内SEである筆者に火の粉がついてしまいます。


● 記録が残らない

言った・言わないの水掛け論になりやすいのも、
カスハラの特徴です。

ログが残らないシステムほど、
後から必ず揉めます。

会議などでも議事録はちゃんと残しておかないと、あとで痛い目に遭います。


現場の人だけに我慢させるのは限界

「接客業なんだから仕方ない」
「お金をもらっているんだから耐えるべき」

こうした考え方は、もう限界に来ていると思います。

ITの世界では、
一人に無理をさせる設計は必ず破綻します。

  • 人が辞める
  • ノウハウが失われる
  • さらに現場が疲弊する

このループに入ると、
立て直すのはかなり大変です。


どうすればカスハラは減らせるのか?現実的な対策

① 「ここから先は対応しない」を明確にする

  • 暴言があった時点で対応終了
  • 録音・記録を行う
  • 管理者対応に切り替える

これは冷たい対応ではなく、
双方を守るためのルールです。


② エスカレーションを早く、分かりやすく

現場が一人で抱え込まない仕組みは必須です。

SE的に言えば、
即アラートが上がる設計

判断を現場に押し付けないだけで、
対応はかなり楽になります。


③ 記録を残す文化を作る

  • 会話内容
  • 要求の内容
  • 対応履歴

これは責任追及のためではなく、
再発防止のためのログです。

ITも接客も、
記録がないと改善できません。


まとめ:カスハラは「人の問題」だけではない

  • カスハラが増えたように見えるのは、構造の問題
  • 現場任せ・曖昧なルールが火種になっている
  • SE視点で見ると、設計不足のシステムに近い
  • 我慢ではなく、仕組みで減らす段階に来ている

感情論だけで語られがちなカスハラ問題ですが、
少し引いて構造を見てみると、改善の余地はまだあります。

人に無理をさせない仕組み。
これはITでも、接客でも、共通の課題なのかもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次